A Classical Approach to Jazz Piano』

本書はコードワークの教本。スケールや基本コードの説明から入り、
メロディに対する和声付け、「Reharmonization」、Four-Part Harmony」「Playing the Melody」、「Five-Part Harmony」「polychords」、upper structure triads, block chords」「 Pentatonic harmonyについて書かれてある。全体としての特徴は内声の動きに関して、詳しく書かれている点だろう。というのもこの本のタイトルの「Classical Approach」とはジャズの古典的なアプローチという意味ではなく、西洋近代音楽の(クラシック音楽)和声法的アプローチという意味なのである。ちなみにクラシックの和声法における、非和声音は和声音へと解決されることを前提とするが、ジャズにおける非和声音はテンションとアプローチノートという言葉で解釈されることが多い。しかもテンションはそれ自体持続的に使用されたりする。したがって本書では7thまでのコードはクラシック的に解釈が可能だが、テンションを含むコードワークはそれとは異なるものだということを示しているのである。



『CD付 藤井英一のジャズピアノトレーニング』(YME) 2001年

Part10まであるが、Part1はジャズピアノの「ノリ」を体得するための短いフレーズ練習。Part2は3つの小練習曲。Part3は6音を使ったシンプルなブルース。Part4の「コードパターンを使ったアドリブ」はドリアン・スケール、ミクソリディアン・スケール、オルタード・ドミナントスケールなどを使った練習でジャズの基本的な奏法を学べる。Part5の「コード進行のアドリブ例」はPart4をさらに発展させたもの。Part6ブルース練習はPart3の6音のブルースに他の音を加えた練習。Part7はスロー・バラッドの奏法、Part8は転調部分のアドリブ練習。Part9は応用練習、Part10は著者による2つの楽曲練習。トーレーニングのためのバリエーションも豊富なので数多い藤井英一の著作の中でもっとも良書に入るだろう。




この三冊は表紙は違うが内容は同じもの。ケニー・ドリューと言うと晩年、日本のレコード会社の依頼で甘めのイージーなアルバムを多く出していたような印象があるが、今改めて聞いてみると、どの演奏も素晴らしい。掲載曲中、まずは「I Can’t Get Started」はCメジャーで弾きやすいし「Drop2」、「Upper Structure Triad」、下降半音進行などジャズ・ピアノの模範的な技法が使われていて参考になるだろう。

It Could Happen To You」はドリューの特徴の一つであるペダルポイントが多様され、また4度の音程の下降、パラレルなフレーズなどが演奏に変化を与えている。「Lullaby of Birdland」、「Softly, As In A Morning Sunrise」、「You’d Be So Nice To Come Home To」はマイナーkeyのアドリブ練習に最適だろう。


『Latin Jazz piano』(平田文一/立東社)1999~2001年

日本で初めてのラテン・ジャズ・ピアノの本格的な教本ではないかと思うう。ラテン・ジャズ・ピアノの奏法といえば、モントゥーノというシンコペーションを伴う、独特の奏法が特徴である。それは4ビートジャズが演奏できても、スタイルが異なるので、必ずしも容易に弾けるというものではない。その点、本書は98のエクササイズにCDが付いており、段階的にラテン・ジャズ・ピアノが習得できることになっている。

ただ残念なのは掲載されている「Giant Steps」、「On The Sunny Side of The Street」、「A Night in Tunisia」と言った楽曲は、なぜかCDにそれらの演奏が収録されていない点である。それでもコルトレーンの「Giant Steps」をラテン・ジャズ・ピアノ奏法で演奏するというのも粋なものである。案外、ラテン・ジャズ・ピアノ奏法は守備範囲が広いので、この教本を参考に好みの楽曲をラテン・ジャズ・ピアノスタイルで弾いてみるのも面白いと思う。



『THE PROFICIENCY VOL.1』 (小泉宏/Self Publishing) 2001年


『Latin Jazz piano』『Jazz Piano Solos SeriesVol.1Miles Davis』 (Arr by Brent Edstrom& James Sodke/Hal Leonard Corp) 2001年 『同Vol.7 Smooth jazz』 (Arr by Larry Moore /Hal Leonad Corp)2001年


Hal Leonard Corpから出されているJazz Piano Soloシリーズは左記のマイルス・デイビス、やSmooth Jazzだけでなく、デュークエリントン、セロニアス・モンクなどのピアノ演奏や、ニューオリンズ・ジャズ、ウエスト・コースト・ジャズ、モダン・ジャズ・カルテット、ビートルズ、クールジャズ、など多岐にわたっている。アレンジは比較的平易なのでレパートリーを増やすには良い曲集だろう。

 





『MESAR HAUS THEORY step』(佐藤允彦/メザーハウス)2001年


『505 Great Piano Intros: Elegant Song Introductions Used by the Pros!』 (Kirk Miller/Alfred Publishing Company) 2001年

 

イントロに特化した教本は他にもあるが、本書ほど詳しい本はないだろう。

とにかく有名なスタンダードを想定したイントロが数多く掲載されている。またそれらを傾向別にBalladMedium TempoUp TempoLatinWaltzBluesCountryEllingtonに分類している。執筆者もDick Hyman, Preston Keys, Lou Stein, Dan Fox, Norreen Lienhard, Johnny Morris, Tom Nelson, Riccardo Scivales, Alan Simon, Andy LaVerne,  David Bergerと多数。

理論的な説明はされていないが、とにかく弾いてみれば色々参考になること請け合いだろう。 



『Jazz Piano Solo Piano Concepts』 (Philipp Moehrke/ATN) 2002年

 

  端的に言えばこの教本は有名ジャズピアニストたちの奏法
研究。著者がそれぞれのピアニスト達のスタイルを真似た楽曲を掲載している。エロール・ガーナー、ホレス・シルバー、ジョージー・シアリング、バド・パウエル、キース・ジャレット、マッコイ・タイナーなどと共になぜかイリアーヌが入っているのか不思議だが。こういう教本としてはジョン・ミーガンのエチュードがあるが、こちらの方は一つ一つが楽曲になっているので実践的だろう。
   あえて言えばマッコイ・タイナーは右手のペンタトニックの奏法をもう少し詳しく、キースジャレットの場合はカントリーぽいノリの良い曲をまた、チック・コリアを入れてほしかった。CDが付いているのでとても参考になるだろう。



はじめてのジャズ・ピアノ・トリオ』(宮前幸弘/リットーミュージック)2002年

 理論的なことは左手のVoicingと使用するスケールについて説明がなされているくらいで、著者も書いているように「習うより慣れよ」の教材。クラシック・ピアノのトレーニングは、長いこと一人で練習して合奏などほとんどしない場合が多いと思うが、ジャズの場合は最初から本書のようにトリオで演奏する方がいい。掲載曲は「バグス・グルーブ」、「モーニン」、「枯葉」、「サマー・タイム」、「A列車で行こう」、「いつか王子様が」、「イパネマの娘」、「マイ・ファニー・バレンタイン」、「ドルフィン・ダンス」、「バルサ・ノバ」など初学習者用のためか演奏はいたってオーソドックスなのでわかりやすい。冒頭の「バグス・グルーブ」は6音だけで演奏できるようなっているところも良い。

ただし本と付録のCDの関係がわかりづらい。通常の教材と反対にベースとドラムのカラオケが、10trackまで入っていて、11から20までがアドリブを含むお手本の演奏。デタラメでもなんでもいいから、まず演奏して見なさいと言う意味なのか。また、CDに含まれていない、テーマだけの楽曲が20曲も、お手本演奏のページの前に掲載されているので、一体どの曲がCDに含まれているのか迷ってしまう。



本書はバークリー音楽大学キーボード科助教授である著者が、授業で実際に使っているピアノのエクササイズから、基礎的な力の養成に効果があり、音楽的にも魅力的なメニューを選りすぐったCDつきトレーニングブック」とあるが、内容はバッキングのネタ本のような感じだ。

ロックやブルースの実例が多いが、プログレッシブな演奏を行いたいジャズ・ピアニストにはハービー・ハンコック、スティービー・ワンダー、リチャード・ティーなどの奏法を説明した、ファンク・テクニックがとても参考になる。



『A Classical Approach to Jazz Piano Impovisation』 (Dominic Alldis / Hal Leonard) 2003年

Part1の第1章はPentatonicimprovisationから始まっている。Pentatonicはモーダルなimprovisationではよく使われるため、上級者向けの学習にも使用されるが、また同時に音と音との間の主従関係がそれほど規定されないので初学習者でも自由に即興が行えるという利点もある。そういう意味で本書は理にかなった、構成となっている。Pentatonicの次はブルース、ビ・バップでの演奏スタイル。そして再びPentatonic、今度はマッコイ・タイナーなどの高度なスタイルのPentatonicの解説、そして、左手のボイシング、ウォーキング・ベースラインの練習と、初学習者にはとても学びやすい構成の教本である。



『Arranging for Large Jazz Ensemble』(Ken Pullig and Dick Lowell/Berklee Press; Pap/Com edition ) 2003年

ビックバンドアレンジの教本の中では実際に演奏されている楽曲を基にしたInside the Scoreは評判が良い教本だったが、本書はそれよりさらに詳しい様々な技法や分析を行っている。全体は14章からなる。第1章は各楽器の音域、基本的なコード、スケール、ハーモニゼーションの説明。第2章はユニゾンとオクターブの書法。第3章、4章はFlSaxTpTbなどを交えた様々なハーモニゼーションの書法。第5章は4堆積音程に書法。第6章はアッパーストラクチャーの書法、第7章はクラスターの書法。第8章はライン書法、第9章はミュートを伴った書法。第10章はソリの書法。そして第11章以後は楽曲の実例。と懇切丁寧。特に各楽器をどのように重ねて構成していくかという、ハーモニゼーションの勉強にはとても役立つだろう。



『ムック なんちゃってジャズ・ピアノ』(斉藤修/リットー・ミュージック)2003年

左書は端的に言えばジャズっぽく弾くための「フェイク」と「リハモニゼーション」の本。アドリブに関しての説明はあまりない。ベートーヴェンの「喜びの歌」、「G線上のアリア」、「世界に一つだけの花」、「上を向いて歩こう」など親しみやすい曲を例にジャズっぽく弾くにはどうすれば良いかが書かれてある。最後に「ルパン三世のテーマ」を取り上げているが、ジャズ・ピアニスト大野雄二の曲であるし、なかなかカッコよくアレンジされているので好感が持てる。初学習者には良い教本だろう。

右書はさらに応用編。



『Hal LEONARD KEYBOARD STYLE SERIES・BEBOP JAZZ PIANO』 (JOHN VALERIO/Hal Leonard Corp) 2003年                                                                           『同 /POST-BOP JAZZ PIANO』(JOHN VALERIO/Hal Leonard Corp) 2005年                                                                                                                   『同 /Smooth jazz』(Mark Harrison/Hal Leonard Corp) 2005年